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コンテンツ紹介

林檎物語:

 

 「林檎物語」はペルシア語独習コンテンツの中心となるコンテンツです。イランの民話を題材にストーリーが展開していく中で、ペルシア語の文法、語彙、表現などを学習していきます。各学習項目の終わりには反復練習ゲームが配置されています。各項目でゲームをクリアするころにはその学習項目で必要な知識が身についていることでしょう。

 言語の学習は、文法、語彙、表現のみで完結するものではありません。その言語の基盤となる文化を同時に学ぶ必要があります。「林檎物語」にはイラン文化における世界観が埋め込まれているため、「林檎物語」で楽しみながらペルシア語を勉強することで、知らず知らずのうちにイランの言語文化を総体的に習得することができます。

 

ペルシア語専攻ワークグループ

責任者:竹原新

アドバイザー:小幡信

 

2008年度作成チーム

北裏龍太(チーフ・作業工程管理)、斉藤美穂(サブチーフ)、下司誠子 柳澤里実 吉仲洋貴 野原彩加

 

2009年度作成チーム

アテフェ・モスレミ、中村亜利紗、島岡志帆、松浦沙紀、柳澤里実、田巻陽子、野原彩加

 

 

ペルシア語場面会話スキット:

 

 「ペルシア語場面会話スキット」は、学習者がイランへ行ったと想定して遭遇するであろう様々な場面を疑似体験するためのコンテンツです。大阪大学で開発が進められている対話交渉シミュレータを使って作成されており、その多彩な機能を用いた効果的な学習を行います。

 単語や文章をペルシア語に訳すことができれば意思疎通はできるようになりますが、ただ訳ができるだけではコミュニケーションとしては十分ではありません。現地の文化や雰囲気、相手への配慮、また駆け引きなどといった多様なコミュニケーションの様態をできる限り再現しました。

 

2008年度作成チーム

北裏龍太、斉藤美穂

 

2009年度作成チーム

ファテメ・ババザデハメネ、佐藤奈月、松浦沙紀、脇坂奈緒、大田真也、島岡志帆

 

写真撮影・写真提供:ハサン・レザーイーバーグビーディー、竹原新、文化研究所(イラン) 、佐藤奈月、島岡志帆

 

ネイティブチェック:ハサン・レザーイーバーグビーディー、カームヤール・アーベディーシャール、アーテフェ・モスレミ、ファテメ・ババザデハメネ

 

声:カームヤール・アーベディーシャール、アーテフェ・モスレミ、ファテメ・ババザデハメネ、佐藤奈月、大田真也、並川嘉文

 

 

林檎物語について

 

あらすじ:

 

それは、ずっとずっと昔のお話

イランのある王様のところに

一羽のオウムがやってきました。

 

「この種を埋めて大事に育ててください。きっといいことが起こりますよ。」

 

王様はオウムの話を信じ、

大事に育てました。すると・・・

 

数百年に一度、金のリンゴをつける

不思議な樹が育ちました。

 

そしてその実は、

熟すと美しい娘になりました。

 

その秘密は代々の王様にのみ

語り継がれました。

 

そしてまた、

金のリンゴがなる年がやってきました。

 

 

林檎物語の解説

 

 当コンテンツの「林檎物語」のストーリーは、イランで口承により人々の間で古くから語り伝えられる民話を出典としています。イランでは「林檎の園」あるいは「マレク・モハンマド」の物語として知られています。  まず、学生メンバーがこれらのペルシア語の民話資料を翻訳することからはじめ、いくつもある類話をもとに独自のアレンジを行って「林檎物語」のストーリー構成を行いました。ペルシア語の資料といっても、古老などの話す民話を書き写した資料ですので、方言・俗語が混じっており、翻訳作業には困難もありました。

 

 この話は、A.アアルネとS.トンプソンによる国際的な民話分類方法ではAT301番「奪われた三人の王女」とされ、話の大筋としては古くより世界中で語られてきたものであることが知られています。確かにイラン風の名前をもつ登場人物が出てくる話ではありますが、ストーリーとしては世界中で受け入れられてきたものと言えます。このため、ストーリー構成においては、話の中核となるモチーフ・エピソードを崩さずに、且つ、イラン人の世界観を残しつつアレンジを行うことに気を遣いました。ちなみに、「林檎の園」の構成は上記の民話分類方法のエピソード構成に従いました。

 

 語学学習で重要な反復練習を行うためのゲームのプログラムは、語学教材の作成にも携わってきた大阪大学サイバーメディアセンターの小島一秀講師の制作によるものです。学習者が反復して練習を行うよう繰り返す毎におもしろさが増す内容に仕上げられました。

 文法などの解説部分は、大阪大学言語文化研究科の森茂男教授による『ペルシア語初級文法』(大阪外国語大学、2002年)、大阪大学世界言語研究センターの藤元優子教授による『エクスプレス ペルシア語』(白水社、1999年)を参考に学生メンバーが中心となって作成しました。

 

 

参考文献

 

Aarne, Antti, and Stith Thompson. The Types of the Folktale. 3rd ed. Helsinki : Suomalainen Tiedeakatemia, 1973.

Anjavī Shīrāzī, Sayyid Abū al-Qāsim. Qissah'hā-i Īrānī. 4 vols. Ganjīnah-i farhang-i mardum 3 [2nd ed.] , 5 and 8. Tihrān [Tehran] : Amīr Kabīr, 1973-1974.

Bihrangī, Samad, and Bhirūz Dihqānī. Afsānah'hā-yi Āzrbāyjān. Tihrān [Tehran] : Intishārāt-i Majīd, 1998.

Sādāt-i Ishkivarī, Kāzim. Afsānah'hā-yi Ishkivar-i bālā. Tihrān [Tehran] : Intishārāt-i Vizārat-i Farhang va Hunar Markiz-i Pazhūhish'ha-i Mardumshinasī va Farhang-i ūammih, 1974.

藤元優子『エクスプレス ペルシア語』(白水社、1999年)

森茂男『ペルシア語初級文法』(大阪外国語大学、2002年)

竹原新「イランにおける2つのAT301型」、『大阪外国語大学論集』(大阪外国語大学、2002年)、第27号、111頁~129頁。

 

ペルシア語コンテンツ作成委員会

小島一秀、岩成英一、村山健二、竹原新、小幡信、並川嘉文