インドの食文化においてお菓子の占める位置は非常に大きい。祝い事にお菓子は欠かせないし、食事のデザートとしても重要だ。試験に合格したら、周りの人にペーラーというミルクを煮詰めてコイン型に丸めたお菓子を配るのが定番だ。結婚式の食事ではお菓子がメインディッシュとされ、出されるお菓子によって結婚式のグレードが決まる。ちなみに一番安価なのものは、ジャレビーという揚げドーナツのシロップ漬けで、最高級はラスマラーイーというカッテージチーズを丸めたものをコンデンスミルクに漬けたお菓子である。
祭りのお供えにももちろんお菓子は欠かせない。家庭でももちろん作るが、このごろは人気の店で買ってくることが多い。そんなわけで、町のお菓子屋さんはいつも大混雑だ。
店に入るとショウウィンドーに色や形がさまざまなお菓子が山と並ぶ。銀箔がのったお菓子やシロップにつかったお菓子など、目移りしてしまう。お店の人に何をどのくらいとオーダーすると、箱に詰めてくれる。お願いすれば味見もさせてくれる。大手の店では支払いと商品の受け取りが別のことが多い。
インドのお菓子はミターイー(甘いもの)と呼ばれ、乳加工品を用いたものが多く、高カロリーである。ミルクを煮詰めたコーヤーと呼ばれるものを加工したバルフィー、グラーブ・ジャームン、ミルクをレモンなどを入れて分離させて固めたパニール(カテージチーズ)から作られるサンデース、ラスグッラーなどが定番だが、野菜をギー(精製バター)で炒め煮したお菓子ハルワーや小麦粉をギーでよく炒めて団子状にしたラッドゥーもよく食べられる。家の来客に食事を出したときなどによく作られるのが、キールと呼ばれる乳粥だ。これは米やセワーイーと呼ばれる春雨状のものをミルクでじっくり煮て作る。ゴータマ・ブッダが厳しい断食行を行ったあと、村の娘スジャータが捧げた乳粥である。甘いミルク煮ご飯であるが、優しい味わいは誰もが好むものである。好みでナッツ類を飾ることもある。
ベンガル地方のお菓子は繊細な味で知られ、「ベンガルスウィート」はブランド化している。スポンジのようなカテージチーズの団子がさっぱりした砂糖シロップに浸かっているラスグッラーは、素焼きのつぼに入れられており、適度に冷えたものは最高である。