アフリカには800~1,000の言語があると言われています。スワヒリ語はその一つです。話者数は7,000万人と推測されていますが,母語話者(スワヒリ語を第1言語として話す人々)は200~500万人ほどであると言われています。また,スワヒリ語にはおよそ20の方言があります。私たちが本コンテンツ内でスワヒリ語と呼んでいるのは,「標準スワヒリ語」ということになります。
スワヒリ語はコンゴ・コルドファン語族のうち,ニジェール・コンゴ語系,ベヌエ・コンゴ大語群,バントゥ諸語に属しています。
スワヒリ語の大きな特徴には次の3つが挙げられます。
① 名詞クラス
個別の名詞がそれぞれ15のクラスに分類されています。
② 呼応
名詞に関わる語はその名詞クラスに対応したシルシを付けます。
③ 動詞シルシ形の膠着性
動詞は多くの場合,動詞本体だけで現われることがありません。通常,主語のシルシや時間のシルシ,目的語のシルシなど幾つかのシルシを規則的に付して現われます。
以上はバントゥ諸語の特徴でもあります。スワヒリ語はアラブ人などとの接触の過程で発展し,アラビア語などからの借用語やそれらを語源とする語も多く含んでいる言葉ですが,言語学的にはバントゥの言語,つまり,アフリカ固有の言語なのです。
スワヒリ語はアフリカ東部・中部の地域共通語としての性格から,多様な民族によって使われており,開放的で包容力のある言語です。発音は多くの音節が子音+母音からなり,日本語と似ていて容易です。また文法は例外がほとんどなく非常に規則的であり,学ぶべき項目も少なく,その内容も比較容易で,習得しやすい言語であると言われています。しかし,日本語使用者から見ると,発想の面では相当異なるところがあり,学ぶ楽しさを提供してくれる言語でもあります。