ここでは,第2課のスキット内で使われている会話表現をもとに,初歩的な会話表現について見ていくことにしましょう.
解 説
この文は,何か特定のものについて,それが何であるかを尋ねる文です.文中のdetは,特定のものを指し示すために使われる指示代名詞です.
これらの文に共通している表現
は,上で見た「これは何ですか?」: Hvad er det?という質問に対して答える場合,あるいは単に特定のものについて紹介をする場合に使われます.
スキット内に出てくる例文では,それぞれの名詞の前にはen / etが置かれています.これは不定冠詞で,例えば英語のaやanに相当するものです.
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第1課で学んだように,デンマーク語では,疑問詞を使わない疑問文の場合は,動詞と主語の位置を入れ替えます.
Har du en blyant? 鉛筆を持っていますか? [en blyant:鉛筆]
Har du et kort? 地図を持っていますか? [et kort:地図]
スキット内では, 「あなたは計算機を持っていますか?」という質問に対して,ジュンコは計算機を持っているので,Ja, det har jeg.と答えています.このdetは, en lommeregnerの代わりに使われているもので,英語の (So do I. やSo am I.に見られる) soに相当する表現です.
また,このdetは動詞や主語よりも前に置かれます.それは,情報の流れがその方が自然であるからで,語順はdet+動詞(have)+主語となります.ここでも動詞と主語の倒置が起こっています.
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スキット内では,この文の直前で,リーヴァとジュンコはosteskærer <チーズカッター> について話しています.文中のsådan enというのは,そのチーズカッターそのものを指し示すのではなく,「そのチーズカッターのようなもの」を指します.
また,上でみたHar du en lommeregner? とは異なり,このHar I ikke sådan en i Japan? では疑問文の中に否定の副詞ikkeが使われています.ikkeの位置に注意しましょう.
スキット内では,「あなたたちは日本でそのようなものを持っていませんか?」という質問に対して,ジュンコは日本にはそのようなもの(=チーズカッターのようなもの)はないので,Nej, det har vi ikke.と答えています.
上でみた,Ja, det har jeg.と同様に,Nejの直後には,detが置かれます.このdetは疑問文中のHar I ikkeを除いた部分全体,すなわちsådan en i Japanの代わりをしています.このdetに続いて動詞→主語→否定の副詞という語順になります.
taskenは共性名詞en taske <バッグ,鞄> の単数既知形です.名詞の既知形は英語の定冠詞が付いた名詞に相当します.つまり,taskenは英語のthe bagに相当するわけです.
Jeg har den i kufferten. 私はそれをスーツケースの中に持っています
[en kuffert:スーツケース]
Jeg har den i lommen. 私はそれをポケットの中に持っています
[en lomme:ポケット]
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tilは「利用・使用目的」を表す前置詞で,A er til Bは <AはBのためのものです> を意味します.
会話で話題を変えたいときなどに使います.
Har du for resten en lommeregner ? :ところで計算機を持っていますか?
相手にものを手渡すときなど,相手の利益になるような物事を勧めるときに使います.
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